過酷なる?!業界用語辞典

過酷なる?!業界用語辞典

《あ》行

いいからやれよ【ええからやれよ】
単純で簡単なことなのにこちらからお願いしても、ウダウダ言ってなかなかやらない人間がいる。
その時につい言ってしまいそうな言葉がこれ。「ええからやれよ!」
関東では「いいからやれよ!」になる。
心の中の叫びのつもりがいつのまにかつぶやいている場合があるから注意。
でも使い方としては悪くない。思いっきりキレ口調で言うよりも、投げやりで疲れ果てた感じで、
あきらめ気味にひとりごとのように使うのが効果的。
(例)
「○○さんこれやっといて」
「いまいち、それのコンセプトというか、意図がよくわからないんです。」
「そこはあまり考えなくていいよ。まあ、深く考えずに」
「でもそれを今やる必要性というか、存在意義がもうひとつ理解できなくてえ」
「いやいや、やればわかるって。やりながら考えよう」
「ていうか、私がやる意味あるんですかねえ?」
「ええからやれよ」
いめーじがつく【イメージが付く】
この世界はこわいもので、一度大きな失敗をすると、そのイメージが強すぎて、
その後、ずっとその印象が残る。
誰かが最初に大失敗したとする。そして何年かして、そいつのミスではないのに同じような
トラブルが発生したとする。さらに何年かすると、人々の記憶には、まるでそいつが2回目の
ミスもしたかのような間違った記憶を思い込まれている場合がある。その逆もあるけどね。
(例)
顧客A「もう時効だけどさあ、Bさんて、2008年のクリスマスのサインのつづり間違えて大変だったよね?」
弊社B「いやー、あの時は大変ご迷惑おかけしました。一生忘れません。」
顧客A「今だから笑い話だけど本当、大変だったよー。」
弊社B「もうあんなミスはしませんね。ありえないっすよ。」
顧客A「うそうそ!もう、いやになるよ!2009年の夏のイベントの設営日間違えたじゃん!頼むよもう!」
弊社B「…えっそれは…(確かAさんの連絡ミスじゃなかったでしたっけ?)…そうでしたっけねぇ、
すみませんでした。(モゴモゴと)」
ミスをした当事者自身が都合良く記憶をすりかえてることがあるので要注意。
わざとではなく、自然に思い違いしてるところがこの話のおそろしいところ。 Aさんみたいな人は現場だけでなく、
ゴルフ場でも大勢いる。当然、アイデアや発想の部分でも自分がどこかで見たり聞いた事をすっかり忘れて、
自分でおもいついたかのうようにうっかりいいこと発想したと言ってしまうおっさんもいる。
よくある作曲のパクリ訴訟なんかもこんな感じじゃないの。自分がそうなった時にはもはや引退をする時だ。
えっ!もうなってるって~!?
いんしゅろっく【インシュロック】
コンベックスとも言う。弊社ではスルメって呼んでるみたいだけど。
ポリエチレン製の結束バンド。ワンタッチでキュッとしまり、
誰にでも早く固く縛ることができ便利。しかも丈夫。もともと電気屋さんの使用する部材。
電気コードなどをとめる時に使用する。サイズも各種類ある。締めた後の余った部分を切ると、
切り口が鋭くなり、子供さんの手などを切ってしまうこともあるので、切り口をビニテで
巻くことは平成の常識。 軍隊が大勢の捕虜の手を縛る時、手錠がわりに利用していたとの噂あり
(実際に週刊誌のグラビアで見ました)いらんこと言いましたね。
あくまで我々はのぼりのポールを手すりに縛る時に使いましょう。
いんち【インチ】
1インチサイズの釘のこと。1インチ=約2.54cm。
釘のなかでは最も小さい部類に入る。ベニヤケコミなどをとめたりする時に使う。
だからといってウッドラックなんかをとめる時にこれを使うと、穴が大きく開いて
スカスカになるので注意。新人は先輩から「インチちょうだい」等と言われて戸惑わないように。
ちなみに12インチ=1フィート=30.48cm。6尺より6フィートの方が若干長い。
ゴルフ場での6インチは結構長いので要注意。1ヤード=3フィート。
釘の呼び名ではあと「インチ半」「2.5」などがある。
いんぱくと【インパクト】
インパクトドライバーの略。普通の電ドリよりパワーが違う。 たたきつけるようにしてビスをねじ込んでいく。インパクトでビスどめしたものは
インパクトでビスをはずすべし。当然、音はうるさい。このバリバリという爆音は
現場ではたのもしく、心強く耳にここちよい。もはや普通の電ドリではモノ足りない。
弊社では「バリバリ君」と呼んでいる。あらためて活字にすると恥ずかし。

例 A「おーい、俺のバリバリ君もうバッテリーないわ。お前のバリバリ君貸して~」
B「はい、バリバリ君どうぞ。」
A「うゎー、お前のバリバリ君元気やわ~」

恥ずかしいでしょ?

おはようございます【うぃっす】
業界の挨拶。
朝でも昼でも夜でも第一声は「おはようございます」と言って挨拶をする。
何で言うか、理由なんかどうでもいい。ちゃんと挨拶することが肝心。
誰もいないスタジオやホールに入る時も、誰にいうでもなく「おはようございます!」
と言って入ろう。いや、神聖なる仕事場に対して挨拶しているのである。それがプロ。
道場に入るときに「押忍!」と言って入るみたいで清々しいではないか。
「うぃっす」は「おはようございます」のなまり語。挨拶くらいはちゃんとやりましょう。
ちなみにこの挨拶は夜の世界でも同じ「おはようございます」。
でも、敢えて「こんばんは~」と言われたらドキッとする。
それは作戦だ。要注意。
おろし【降ろし】
(↔つみこみ【積み込み】)
撤去の現場から帰ってきたトラックの荷物を降ろす作業。
まあ、一応終わった部材なので、積込みよりは気を使う事はないのだが、
たまに大事なものを預かってきたり、倉庫で保管するものや、また使い回すものも積んでいるので
捨てられないよう、または壊されないよう、注意が必要。
この「降ろし」も忙しい時、現場が重なっている時はなかなかの作業である。
たまに早朝からトラックに乗って現場にでかけようとして、そのトラックが昨夜の撤去荷物で
満載のままになっていた場合は気絶しそうになる。いずれにしても密な連絡が大事。
ちなみに、1年で最も降ろしが重なる日は、クリスマス装飾撤去後の12月25日深夜である。
安全第一とは見た目にも安全であるべし
弊社本社で、毎朝朝礼で唱和している行動指針10か条の一節。
その通り、いくら自分たちは安全というかもしれないが、はたから見てそれが危険に見えるならば、
その行動、作戦はむしろやめておこう。というもの。読めば読むほどにその言葉の深さと汎用性に触れ、
いい言葉だなあという気持ちを禁じ得ない。 誰が作ったんだよ!すばらしい。
(例)
A「おーい、イントレの横からそのままお前動いて、それ持っとけや!」
B「はい。いけますよー!」
A「それから、そのポールよじのぼれ!片手でいけるやろ?」
B「なんとか大丈夫そうです~。ちょっとグラグラしますけど」
A「ほんでロープは口にくわえて持っていけよ」
B「ふわ~い。もっけいどえす(OKです)」
A「うーんやっぱり、見た目に安全違うからやめとこか!」
B「僕もそう思います!」
こんな会話が現場でかわしてもらえるならば、甲斐もあったものだと痛感しまくりです。

《か》行

かったーかしてください【カッター貸してください】
現場で「ちょっとカッター貸してください」と軽く顧客に言われることがある。
いかにもこれ切るだけだからすぐに済みますからというような感覚で言われる場合が多い。
営業的な立場の我々にならいいのだが、ズバリ設営に来ている職人なんかに頼まれる方もいる。
まあ大抵はすぐに返してくださるのだが、中にはずっと使われたきりで、
カッターがなくて作業にならなかったり、なかなか返してと言い出せなかったりすることもある。
顧客からは職人の顔は同じに見えるのか、「さっき返しましたよ」とか言われてしまう
場合もある。そんな時のために、できるやつは誰かに貸すためにカッターを2丁持っている。
サブカッターである。これは無くなってもいいように100円ショップで買うべし。
できたら、足首とか予想外のところからすばやくだして
「こっちを使ってください!」とやると、なるほど、できる奴だと認められる。
(例)
「カッターちょっと貸してください」
「サブですがこれをどうぞ!」
「ありがとうございます。二つあってよカッター」
「さすがシャレのセンス切れ味いいですね!」などと添えられれば上級者。
きんあか【金赤】
赤色のこと。もともと印刷用語。いわゆる真っ赤。
4色掛け合わせの色指定でいうとY100+M100 カッティングシートなどではカーマイン。
人間の眼は精巧に出来ていて、意外と金赤の判別には厳しい。少しでも黄色が勝つとオレンジに見え、
すこしでもマゼンダが勝つとエンジに見える。それだけに印刷にしろ、塗装にしろ金赤が一番難しい。
その昔、まだ看板が手書きだった頃、文字を金赤でと指定したら、文字の赤の上に金粉がちりばめられたものが
仕上がって来た。 正直、びびりました 。
げんばたいおう【現場対応】
この業界では、何よりも求められる力がこの「現場対応力」である。
何が起るかわからない。それが現場である。材料が足らなくても、道具がなくても、
「明日なら」じゃなく、「会社に戻って」でなく、今なんとかしなければならない。
それが現場である。なかったらあるものを利用(代用)したり、ある意味野性的な
サバイバルセンスが必要となる。
映画「ダイハード」のブルースウィリス扮するマクレーン刑事を見習おう。
ラスト近く、拳銃の弾があと2発だが、敵はあと二人。 そして自分の妻である人質がひとり、
自分は上半身はだか。さてどう闘うか? 時はまさにクリスマスシーズン。
ふとラッピング用の粘着テープがころがっているのを発見する。マクレーンは一瞬でひらめいて
行動にうつす。背中に拳銃をテープで貼って、 両手を挙げて敵の前に現れる。
上半身はだかなので敵は丸腰だと油断する このシーンを見るといつもマクレーン刑事って
本当に現場対応力のあるやつだなあと感動する。
(例)
「おい、寸角持ってこい!」
「えっ今日は持って来てないですよ。」
「あそこに森があるから適当に木切ってこい!」
「それから接着剤あるか?」
「忘れました~」
「さっき食べた弁当のふたについてたごはんつぶねっとけ!」

厳密に言うと、しっかりと下見をして、
最悪のことを想定して万全の用意をしていき、
それでも何かあったときにどうにか対処するのが現場対応である。
準備は万全にしてさらにうまく現場を収める。
それがプロ。念のため。

これもつんどくか【これも積んどくか】
積込みなどのときに、現場チーフあるいは担当営業が、何に使うかはわからないが、
持っていった方がいいような気がするものを目の前にしてこうつぶやく。
「これもつんどくか。」
長年の「勘」でそう思うのだが、それがまた見事に現場で役立った時、
現場チーフもにんまりする。ここで登場したかという感動に近い。まあ「勘」というのは
統計学なものであるが。映画007で新兵器を開発するQにいろんな新兵器をプレゼンされて、
ジェイムスボンドはなんとなく持って行くが、それがピンチの時に役立ったりして、
ここで登場となったかとクールにつぶやく所に似ていなくもない。
現実に持っていくものとしては、ぞうきんだったり、金尺だったり、水糊だったり、
たいしたものではないのだが。
こーなんぷろ【コーナンPRO】
ご存知ホームセンター「コーナン」の、より職人色の強い店。
建築、塗料、作業用品を中心に倉庫のように広い店内で品揃え、在庫も充実。
大概の物は何でも売っている。営業時間も朝7時からと一般のコーナンより開店が早く、
現場へ行く前に立ち寄ることが可能。とてもコンビニエンスな店。
工具器材の賃貸や電動工具エンジン機器の修理も行っている。

《さ》行

さんすけ【三スケ】
三角スケールのこと。主に製図で使用される物差し。縮尺定規の一種。三つの面の両側に計6種類の縮尺が違う目盛りが刻まれている。15Cmのものはコサンスケと呼ばれる。どちらにしてもあまり主役をはれる名前ではないが、非常に便利で「現場にも持っていきたい100逸品」には堂々入選まちがいなし。
しかん【紙管】
紙でできた円柱。表面に紙や写真を貼って使う。
したみ【下見】
 事前に現場を見に行き、調査、採寸、確認などをすること。
現調(現場調査)ともいう。「現調」は事前に顧客の担当者に連絡をとり、
正規に採寸させてもらったり、現場の事前打合せも兼ねるニュアンスがあるが、
「下見」は現場までの車での道のりや、周辺の状況なども含めて、色々なことを想定しながら、
犯罪者のように細心にして綿密にこっそり行うニュアンスがある。
いずれにしても下見をしない現場はありえない。プロなら必ず行うべし。
昔からできる男はデートの前でも下見をするもんだ。
(例)
「お前、例の現場下見しているんか?」
「まかせてください。現場から歩いて5分のところに夜中までやってるうまいラーメン屋を発見しました。」
「現場の下見はしたんか?」
「はい、店内は汚いけど、かなりうまかったですよ。」
しんせいしゃ【新星社】
北九州市にあるサイン屋さん。サイン資材の通販を先駆けて行い、
従来の資材よりも画期的に安い商品を「今日発注して明日着」の早さで扱った。
インクジェットの普及とともに業界に新風を吹き込んだ。社長がまた素晴らしく、
業界自体の繁栄もしくは業界を越えて、全国的に各種セミナーを行ったり、商売の基本を
レクチャーしたり、もはや業界のリーダー的な存在といえる。
じかんをぬすむ【時間を盗む】
時間を盗むとは穏やかでない表現だが、時間は1日24時間、1年365日と決まっている。
盗まないと時間は湧いてこないのだ。特に現場での時間だ。
現場では時間があっというまに経ってしまう。何事も段取り一番なのである。
設営現場には入り時間の30分前には集合したい。その間でその日の打合せをすると
動きが変わってくる。もしくはひょっとしたら、早めに作業ができるかもしれない。
これが時間を盗む技である。時間は追われると加速する。追っかけると遅いものだ。
時間は盗めるのだ。早く仕上がり早く終われば、顧客にも当然ウケがよくなる。
余った時間は決して無駄にならずにまた大切な時間に生まれ変わる。時間は巡るのである。
その日に何人もの人間が効率よく働けるためには、前日にその責任者は
徹夜してでも段取りを準備しておくべきだ。
じまき【地巻き】
緑色でコーティングされた細い針金。造花を束ねたり、フラワーアレンジの際に使用する。
太さの種類が番手で決まっている。#24、#26。地巻のことを地巻と呼ばず、
番手で呼ぶととってもプロっぽい。
(例)
A「この造花を吊るしてもらいたいんだが、24番でしか縛ってないんでここ持つと弱いよ。」
B「24番て何?」
A「地巻のことだよ。」
B「元モー娘。の?出席番号なんてあった?」
A「それゴマキ」

《た》行

だからなんなんだよ!【だから何なんだよ!】
同義語=だからどうしたんだよ!
切れ気味に発する言葉。「だから」で少し下がって、「なんなんだよ!」と後半力強く伸びながら上がる感じで使う。 自慢話やスケールのでかい夢のような仕事の話をされて,実際に素晴らしくて、返す言葉がなくなった時に発する言葉。 逆にこの言葉を返されると、相手も自慢の続きを話するのが引けてしまう。 大阪で仕事をしている人や生活を基盤にしている人は、東京の話を聞いてよくこの言葉を発する。この一言で、どんなにすばらしい東京の企画やイベントや文化も一気に吹き飛んでしまうから不思議。 映画「竜二」の最後らへんで「私もねえ、昔ワルやってましてねえ」という運転手に竜二が「だからなんなんだよ」と切れて煙草の火をおしつけるシーンがありましたが、そんな使い方もする。 まあ、なんてことないけど、「だから大阪はだめなんだよ!」と言われぬように。 ちなみにアツシボは温かいおしぼり。昼間の喫茶店などではあまり使わぬこと。
ちゃこーるぐれい【チャコールグレー】
色の種類。チャコールは炭という意味なのでチャコールグレーは濃いめのグレーというのが普通。それを耳からのイメージで少し茶色がかったグレーとか茶色と灰色の混ざった色とか言う人がいる。熊か!?ちなみコールはコールタールでもない。色合いは合っているけど。嘘みたいだけど、案外多いので、いやいやうちらの世界ってそんなもんですよ。何よりも大事な色の話なのでしっかり意味を知っておこう。発注ミスにつながる。結局チャコールグレーでも人によって感じ方違うので色指定は例えばDICでしてくださいよって話。
つみこみ【積み込み】
(↔おろし【降ろし】)

読んで字のごとく、トラックあるいはバンに現場の荷物を積み込むこと。
設営施工が朝からなら、通常その前日の夕方に行い、
設営が夕方からなら、その日の朝から行う。とても大事な作業で、
現場はこの段階から始まっているといっていい。ちょっとした現場ならなんてことはないが、
大きな現場となると降ろす時の段取を考えながら積込まねばならない。さらに、
効率よく積む為にスキ間に小物を詰めたり、壊れ物を養生したりと実は現場以上に大変な
作業である。まあ一大儀式なのである。通常、図面以外に、担当者が「積込みリスト」を
作成しているのでそれを見ながら積込む。担当者が立ち会わない積込みは忘れ物があっても
文句を言えないので、なるべく立ち会うべし。担当営業も現場チーフも誰もいないのに
積込みだけやらされる人間は「誰の現場やねん!」と叫ぶ。
これは「積込み」ではなく「つっ込み」だ。

つめしぼ【ツメシボ】
冷たいおしぼりのことですけどてか、こりゃキャバクラ用語だっちゅうの!
ちなみにアツシボは温かいおしぼり。昼間の喫茶店などではあまり使わぬこと。
つりかんばん【吊看板】
ホテルなどの宴会場で吊るす横長の看板。一文字看板ともいう。
宴会のタイトルが書かれる場合が多い。
例えば「○○株式会社 20周年記念パーティ」とか「◎◎学校 卒業式」など。
最後の記念撮影などのために看板を吊るす場合が多い。昨今はインクジェット出力などで作れるため、
各種デザインを施せるが、白地に黒文字が一番見やすいし、それっぽくわかりやすい。
何よりも好き嫌いが出なくて無難。昇降式のバトンに看板をワイヤーで取り付け、そのバトンを
上げることを「とばす」という。
ちなみに看板を頼まれたのにすっかり忘れて現場を台無しにすることも「とばす」という。
でした【でしたー!】
仕事の帰り際に言う「お疲れさまでした。」の略。大概は、けだるそうに
「でしたー」と語尾を伸ばすのが正式な言い方。普通は先輩各から後輩に向っていう言葉。
顧客や目上の人にはあまり使ってはいけない。まあ言うとしたら少しでも元気よく
「でした!」と大きな声でやりましょうよ。類似語に「お疲れでした。」「ウィーシタ」などが
ある。ちなみにアンタッチャブルの「あざーす」は「ありがとうございまーす」のなまり語だ。
どうでもいいけど、「お疲れさまでした」くらいははっきりと正しくいいましょうよ。
何が「でしたー」や!
ではさいごにしゃちょうから【では最後に社長から】
本社で毎朝の朝礼で司会者から朝礼の最後に社長にふられる言葉。「だから粗利をもっと稼げと言ってんだろう!」ばかり言っててもばかみたいなので、良い事、良からぬ事の報告、社長の思い、もしくは小言、連絡事,事件、事故、ダジャレなどをしゃべる。「特にありません。」とたまには言いたいところだが、「では最後に」の一言がなかなかそう言わせてくれない雰囲気がある。

《な》行

なにまち?【何待ち?】
現場にて、休憩でもないのに、何かの都合でみんなの手が止まって何もしていない状況がある。
そんな時、必ず言われるのが「これは何待ち?」である。何かのトラブルだったり、
大道具さんの作業が遅くて照明さんや音響さんを待たせたりで、手待ちにさせている張本人は
大汗ものである。無言のプレッシャーの中に時たま聞こえてくる「これは何待ち?」には
消えてしまいたくなる。ごくたまに、「何待ち」でもないのに何となく作業が
止まっている状態がある。本当はこれが一番やってはいけないこと。現場チーフは誰だよ!
なるはや【なる早】
よく発注のときに「なるべく早めに」とか「できるだけ早く」という言い方があるが、
これは間違いだ。一番最後にまわされる可能性大である。
なぜならば過酷な状況の我々の仕事では、いつも時間を区切られている。
これは○日までにとか、あれは明日の12時までとか、具体的な指定をされることが多い。
最も早いリクエストでは「今日。」とか「今!」とか、きついので「ジャストナウ!!」
などがある。注文される方は遠慮して「なるはやで」なんて言われるんだろうがここはひとつ
「本当は昨日!」なんてやってみよう。
外資系の会社だとASAP(as soon as possible)でよろしく
などと言われる。なおさら緊急な感じは漂わない。
(例)
「○○企画さんから電話がありまして、例の件ゴーしてくださいとのことです」
「納期はいつって言ってた?」
「なるべく早くと言ってました。」
「じゃあ、一番あとまわしでいいや!さきに明日納品の分やっちゃおう!」

《は》行

ばいんど【バインド】
バインド線の略。柔らかめの針金の上にビニールでコーティングされた線。
便利で簡単なものを固定したり、くくり付けたりする時に重宝だ。しかし結構、風に弱く、すぐ切れる。
野外では二重にちねって使ってね。普段湯水のように無駄使いしているバインド。
たまたま切れ端がポケットに入っていて、家のゴミ箱に捨てたはずが、嫁が拾って
台所のちょっとしたところに再利用してたり(食パンの袋をそれでとめたり)して、
「これすごく便利なの」などと微笑まれると、なんだかせつなくなり、涙を禁じ得ない。
モノは大事に使いましょう。誰が貧乏くさいねん!?
ばりばりくん【バリバリ君】
インパクトドライバーのこと。どこでも通じるわけではない。
知ったかぶって、よそで言うと恥じかくよ。詳細はインパクト
ばーる【バール】
釘を抜く時に使ったり、パネルなどの狭間にさしこんでテコの原理でこじあけて使用する
鉄製のL型の工具。大道具さんはすぐに閉まってしまうドアの下にはさんで、
ドアストッパーとして利用したりする。サイズは大が1mくらいのものから、20~30cm
ほどのものまで各種そろっている。当然、大道具さんは携帯するので30cmほどのものを使用する。
よくニュースで「賊はドアをバールのようなものでこじ開けて侵入したようで~」などと言っている、
そのバールである。このバールはたぶん1mくらい。聞いた話だが、「バールのようなもの」とは
「ほぼバール」であるらしい。なぜ、バールと言い切らないのかが謎だと。
ぱねる【パネル】
ベニヤ板と角材でできたもので、表面に紙や写真を貼って使う。
主にステージやセットの背景に使用する。
ぱんちかーぺっと【パンチカーペット】
堅いフェルトのような、ロール式の安いカーペット。
主にステージの上に敷いて使用。
ひとひろ【ひとひろ】
サイズを体の一部で表現する便利な尺度のひとつ。ひとひろとは両手を広げたサイズである。
通常、人間は両手を広げたサイズは身長とほぼ同じサイズとされている。なので長い材料を切るときに
ひとひろ切ってとかひとひろ半(1.5ひとひろ)ちょうだいなどと表現する。当然ふたひろ、みひろと増えてくるのだ。
だいたいのサイズでいい時、すばやく伝えるにはイメージしやすく伝わりやすい。
(例)
A「おい、ワイヤーちょっと切ってくれ」
B「どれくらいですか?」
A「ひとひろくらいでいいわ。」
B「はーい。」
A「えっおまえBか?」
B「はい、Bです。」
A「やっぱり、ひとひろ半にして!」
B「了解」
ひらだい【平台】
ステージ制作などに使う部材。主に床部分に使用する。
へるめっと【ヘルメット】
工事現場のおっちゃんのかぶるものでしたが、ここ15年ほどですっかり、
大道具さんや照明さんにも定着した。何よりも安全第一を目指す昨今にはマストアイテムだ。
スタジオやホールは意外にも危険が潜んでいるものだ。通常はタオルを巻いてかぶったり、
キャップの上からメットをかぶる。マイヘルメットももはや常識となり、自分の血液型とかを
テプラで貼ったりしている。さすがにゼネコン名は入れなくてもいいし、
当然、好きなタレントなど入れる必要もないし、座右の銘もむしろ入れるな。

《ま》行

みんないってますよ【みんな言ってますよ】
みんなではない。せいぜい一人か二人かだ。割とマイナスなことを忠言するときに使う
もでるさん【モデルさん】
ファッションモデルもしくはタレントモデル。読者モデルはモデルさんと呼んではいけない。2013年のこの時代ではデルモとか呼んでもいけない。現場では例え着替え途中でなくともジロジロ見てはいけない。チラ見は2回まで。あちらさんに不快な思いや恐怖を感じさせてはいけない。業界として、業者として、男の子として。街中できれいな人がいたら「モデルさんかなあ」と聞こえよがしにいうのは可。そして、最後に悪羅悪羅(オラオラ)系ファッション誌のモデルもモデルさんではないのでモデルさんと呼んではいけない。チラ見は1回まで。
ものたろう【MONOTARO】
築、工事関係全般に職人さん泣かせの(うれしいという意味での)工具・道具・消耗品などのネット中心の通販会社。商品の本当の名前、値段、比較商品、便利商品などがカタログにズラリと載っていて便利。今までは、昔からの商店で「いつものやつ」という発注方法だったのが、今はカタログの商品番号で発注できる。職人さんがOL化した。管理する方もその番号で何を購入したのかネットですぐ検索できて便利。コーナンのレシートよりも管理しやすい。

《ら》行

りゃんめん【両面】
りゃんめんとは両面テープの略称であり、愛称である。カーペットを貼るタイプから、
セロテープの両面版タイプまで、超強力タイプや弱粘など用途に合わせて各種各サイズある。
でもねえ、はがさなきゃいけない時に岩海苔のようにはがれなくて、
ひっついてなきゃいけない時にポロッと落ちたりで、マーフィーの法則ならぬ
「りゃんめんの法則」を忘れてはならない。ちなみに「絶対にはがれない両面テープ」はない。
落ちるときは簡単におちる。しかし、その後、顧客からは簡単には許してもらえない。

《わ》行

わいやーかったー【ワイヤーカッター】
ワイヤーを切る工具。バンセン切りとは少し違う。バンセン切りは俗称で本当の名前はクリッパである。歯がかけて切れにくいものをスキッパという(やや笑)。厳密に言うと、ワイヤーカッター、ケーブルカッター、ボルトクリッパ、ミゼットカッター、ミニクリッパ、万能バサミ、強力ニッパーまでいろいろある。何を何で切れる切れないかは、あなたと工具の手入れ次第。最後は気合いと念力、本当に切りたいという熱い思い・・・
わく【湧く】
長らく貼っていた、もしくはロールのママの状態で粘着剤つきのテープ、カッティングシート、出力シートなどが、悪い感じにネバってくること。こうなるとはがしても、粘着だけが頑固なまでに残り、接着先はもはや使い物にはならない。触ると翌朝まで不快感が残る。ライブ会場が盛り上がっていることとはまた違う。